alphaのときどきブログ

Webにちょっとだけ関係した仕事をはじめた元Webディレクター兼業主婦が徒然と書くブログ。読書記録、美術展の感想など。

3月第4週(3/21~27)に読んだ本

今週は5冊

ちょっとペース回復かしら。いつも週末にまとめて読むのですが週末に出てたこともあり冊数はそれでも少なめでした。


2016年73冊目「学問」山田詠美

高校生の頃に「僕は勉強ができない」を読んだことがある身として(個人的にはそんな好みではなかったけれど)山田詠美がこのタイトル、と疑問でしたが、読み終えたら納得。想像するアカデミックな意味ではなく学んで自分の糧にするということを書いた小説でした。構成によるそこはかとない不安や恐怖ありつつ、あたたかいものもあり。
山田詠美さん作品で長めの人生を描くものを高校生の頃はあまり読んだことがなかったので新鮮。作者も年を重ねて作品スタイルも変化しているのかな。

学問 (新潮文庫)

学問 (新潮文庫)

 

 

2016年74冊目「眠りの森」東野圭吾

未読だったような気がして図書館で見つけて即借り(買いではない)。多分読んだことがなかったはず…。読み終えても再読か初読か分からないままでした。主人公の加賀恭一郎刑事は東野作品で重宝されている語り手(シリーズものになっている)ですがこの作品の頃はまだシリーズ2冊目とあってまだそんなに特徴がない感じ。その後のシリーズより若いゆえか熱さが強い主人公かも。その後のシリーズでも心情は大事にしつつそれでも冷静な刑事というところがあるので意外です。話自体は鈍い私でも最初に犯人が予想出来てしまったので推理のドキドキはあまりありませんでした。

眠りの森 (講談社文庫)

眠りの森 (講談社文庫)

 

 


2016年75冊目「吉祥寺の朝日奈くん」中田永一

以前読んだ「くちびるに歌を」同様ティーンズコーナーにあったけれど中田永一作品は気になるので手に取りました。直接的な性表現はないけれど不倫も扱ってるけどティーンズなのね。(そういうものを読ませてはいけないとは決して思ってなくて、何を基準に図書館がセレクトしているか気になるだけ)
鬱屈したというかいわゆる非モテ女子の表現が上手だなというのに感心。短編集ですがどの話にもちょっと意地悪さというか、何でも簡単に上手くはいかないよ、とか、裏はあるよ、というのを分かり易く描いています。

吉祥寺の朝日奈くん (祥伝社文庫)

吉祥寺の朝日奈くん (祥伝社文庫)

 

 

2016年76冊「遮光」中村文則

読書家の友人は中村文則さんの「土の中の子供つまらなかった」と言っていたのですが、同世代の作家さんから評判のいいこともあって初期作品のこちらを借りてみました。
初めて読んだ感想としては、この人の文章好き!簡単でない言葉や表現を織り交ぜているけれど、読みやすいという奇跡。俺の文章うまいでしょーって感じを感じない(そう思ってしまうのは私のコンプレックスに起因するかもしれませんが)。
物語としては最後の展開はう、うん?という感じなのですが…。中村さん作品も初期から追ってみる楽しみが出来ました。

遮光 (新潮文庫)

遮光 (新潮文庫)

 

 

2016年77冊目「あのひとは蜘蛛を潰せない」彩瀬まる

震災体験ルポタージュを読んで彩瀬さんの作品が気になり手にとりました。赤が印象的な装丁ですがその理由も読み続けると分かります(リンクしているのは文庫本ですが単行本の表紙の方がそれが顕著!)。主人公は本当に普通のアラサー女性です。家族との関係性に悩んでいたり年下の彼氏だったり、書き手によっては大袈裟に取り上げたりするシチュエーションも過剰過ぎず控えすぎず普通の女性が浮かびあがってくるのです。そんな普通の中に浮かび上がる問題。大袈裟でなくても向き合わなければいけないこと、生き方を肯定すること、押し付けがましくなく寄り添う1冊です。彩瀬さん作品を追っかけること決定!

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

 

 

今週の1冊

今週の1冊というか2冊、内容がめっちゃ気に入った、というよりはこれから読みたい作家さんが増えた出会いということで「遮光」「あのひとは蜘蛛を潰せない」。中村さんも彩瀬さんも他の作品を読むのが楽しみ。