alphaのときどきブログ

Webにちょっとだけ関係した仕事をはじめた元Webディレクター兼業主婦が徒然と書くブログ。読書記録、美術展の感想など。

6月第1週(5/30~6/5)に読んだ本

今週は6冊

5月に8冊しか読んでいないことに愕然。割と時間が自由に効く現在の生活でこれは。年間300冊と目標を立てたのに、これではいけないと認識しました。数字で具体的な目標を立てておくと現在地と目標との距離が測りやすいものだと改めて。これがもし「今年はたくさん本を読む」であれば1ヶ月で8冊でもたくさん読めていると思っていたような気がします。

2016年113冊目「鹿男あをによし万城目学

その土地の風土×物語が浮き上がる万城目さんの作風にすっかり魅せられ、第2作のこちらを手に取りました。知っているようで知らない奈良。仕事をしていた頃近鉄で通ったり、友人の結婚式で行ったりはしたのですが、ゆっくり回るということを案外していないような気がします。
京都がいにしえの都な俺SUGEEEEEと主張しがちなのに対し、奈良は控えめなのか更に古い歴史だからどんと構えているのか物静か、な印象(もちろんそんな一面的な見方が愚かであるのは前提として)。そんな奈良の女子高を舞台に、奈良という土地の空気と歴史とが絡み合っていく物語は部屋にいながら奈良散策ができるようで楽しい。ちょっと頼りない主人公にしっかりしなさい、と言いたくなりつつ応援し、その他の登場人物も欠点があるけれどいいところもありで人間味があり身近に感じます。
日常なのに日常でない物語を味わえるのでストレスを忘れたい週末にお勧めの本。

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

 

 

2016年114冊目「深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海」沢木耕太郎

3月第2週に1を読了して3ヶ月、ようやく旅、もといこのシリーズを読むのも終盤に。このシリーズ以外も読みながらではありますが(1冊を読むのには1時間半~2時間ぐらいで可能とは言え)長い旅がそろそろ終わるのか…という感じです。書かれている内容も旅の終わりを意識したものとなっています。
観光旅行の経験しかなく、またそれに興味のある私は、トルコやギリシャの景色・観光地に期待をしがちですが、深夜特急シリーズは一貫してその土地の人々を描いており、それはこの5でもそうです。

深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)

深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)

 

 

2016年115冊目「ナオミとカナコ」奥田英朗

TV版の結末を目にすることがあったのでもしかしたら同じ結末なのだろうか、それとも違うのだろうか、と緊張しながら読み進めました。結末は…読んで確かめてください。
ナオミの章、カナコの章があり、がらっと雰囲気が変わるので1冊で2冊を読んだ気持ちになれます。それにしてもナオミもカナコも常識からすると「悪い、異常、おかしい」に分類されるはずなのに彼女たちの肩を持ちたくなるように巧みに誘導されるようです。
ただ、個人的には女同士でいわゆる「バディもの」って成立するのかなーと疑問で(それは私の性格のせいかもしれませんが)、男性が女性の友情を夢想して書いたからこそ書けた絆だと思います。

ナオミとカナコ

ナオミとカナコ

 

 

2016年116冊目「銃」中村文則

Amazoznレビューだと銃の描写が未熟と書いている人がいたけれど、銃についての知識がないためそこは気になりませんでした。ピース又吉さんが取り上げたこともあり最近話題の中村文則さん作品。デビュー作だと知って読むせいもあるのでしょうが、抑えてないなぁ、中にためていること、書きたいことを瑞々しく全開に書かれているのが清々しい。内容は爽やかからは程遠いのですが、ここからこの作家がスタートしたのだなぁという。
鬱々とした、もとい内省的な主人公が葛藤を抱えながら一線を越えてしまう時、止めたくもなり、主人公の精神の解放を願ってしまうところもあり。解放がイコール救いではないのにね。

銃 (新潮文庫)

銃 (新潮文庫)

 

 

2016年117冊目「土の中の子供」中村文則

芥川賞受賞作品。タイトルから勝手に土着生活、民俗的な風習を描いた作品?と予想していたのですが全くそんなことはなく。読み進めていくとタイトルの意味がそういうことだったのかー!というすっきり感あり。
既読の「銃」「遮光」と同様、重く暗く、そして「銃」より抑え気味にも感じられる作品。一人称文体で、派手なことがそれほど起こらないにも関わらず生きることを問われるような作品。ただ私は「銃」の止まらない感の方が好きかな。

土の中の子供 (新潮文庫)

土の中の子供 (新潮文庫)

 

 

2016年118冊目「ホテルローヤル桜木紫乃

直木賞受賞時に、読んだ知人だったかが、酷評していた記憶。そのため恐る恐る読み始めました。確かに文章はちょっと読み辛い気がします。焦点があっちこっちいくので。
内容は、廃墟となったラブホテルを巡る短編集。起伏の激しい人生を送った人がいて、そしてその周囲に控えめな起伏のある人生を送った人たちがいる、日常が淡々と、時に切なさではなく哀愁を持って描かれています。作者が釧路出身ということもあり、地方都市の衰退もあわせて滲むのがその色を更に濃くしているのかもしれません。

ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル (集英社文庫)

 

 

今週の1冊

読書復帰週!数、というか常に読む時間を日々に設けると感情や感性が活発になっていくようです。そのためどの本も印象深いのですが、ここはとにかく楽しかった「鹿男あをによし」で。