alphaのときどきブログ

Webにちょっとだけ関係した仕事をはじめた元Webディレクター兼業主婦が徒然と書くブログ。読書記録、美術展の感想など。

3月第2週(3/7~13)に読んだ本(2)

昨日の記事の続きです。

alpharuha.hatenablog.com

2016年66冊目「この年齢だった!」酒井順子

10年以上前に流行語の発端となった「負け犬の遠吠え」。その頃20代半ばの私にはピンと来ず手に取ることないままでした。初めて読む酒井順子さんの本。
女性誌MOREの連載を単行本としてまとめたもののため、軽いタッチで読みやすく、古今問わず著名人・有名人の簡単な履歴と転機となった年齢について書かれています。現在が微妙な年齢、なんて捉えていましたがそんな捉え方してたらそりゃ微妙な結果しか出ないわ、何て小さな考えなの、と思い直せる、元気の出るエッセイ。

この年齢だった! (集英社文庫(日本))

この年齢だった! (集英社文庫(日本))

 

 

2016年67冊目「この女」森絵都

事情があって釜ヶ崎で暮らす礼司。神戸の大学生・大輔からの依頼でホテルチェーン社長夫人・結子の物語を書くことに。それは1994年のことでした…という阪神淡路大震災の前年から始まる小説。本筋とは関係ないのですが、大輔が淡路島から神戸まで高速で通おうと思えば通える、というのは気になってしまいました。淡路島から神戸の高速は94年時点では通ってへんよ、と。阪神淡路大震災で建設中の明石海峡大橋もずれた、という記憶があるので。
ただ構造の妙や謎を次々知りたくなる展開、そして1995年が迫りくるという状況から緊迫感を持ったまま読んでしまいました。その先に何かがある等疑いもしなかったあの頃とそれから。
ちなみにAmazonレビューでは関西弁が不自然、という指摘が結構ありましたがそれは気にならなかったのは私の関西弁もちゃんぽん関西弁だからかも。

この女 (文春文庫)

この女 (文春文庫)

 

 

2016年68冊目「暗い夜、星を数えて 3・11被災鉄道からの脱出」彩瀬まる

センテンススプリング!に、3/11を描いた文芸・書籍で紹介されていた本。小説家である筆者が仙台から福島に掛けて一人旅をしていた時に東日本大震災に遭った経験を書いています。そこに住む人、ではないけれども津波に追われ、避難し、そこで出会った人々に助けられ、という実際にあった話が書かれています。度重なる余震への怯え。原発の動向、情報をとにかく急ぐ様子。それらがありありと書かれています。著述業ということで極力風景は冷静に書きつつ、一方で複雑な気持ちも余すことなく書かれてます。最終章の担当編集の方と一緒に福島を訪れた時、編集さんが想像以上だったと言ったことで伝わっていないのだ、と書いていた筆者の衝撃が被害の甚大さが一番伝わりました…。本当に私は何も知らないのだ、と痛感します。

暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出

暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出

 

 

2016年69冊目「クラウドスターを愛する方法」窪美澄

なんやかんや窪美澄さんが気になっているここ最近。刊行順に手を取っていて、3冊目です。前2冊に比べて割と地味な感じのお話。家族との折り合い、生きにくさを描いているのは前2作と通じるところがあるのかも。

 

クラウドクラスターを愛する方法

クラウドクラスターを愛する方法

 

 

今週の1冊

「この女」も捨てがたいのですが(地元贔屓なことも含め)、楽しみな新しい作家さんの作品ということで「名前も呼べない」を今週の印象に残った1冊に。