alphaのときどきブログ

Webにちょっとだけ関係した仕事をはじめた元Webディレクター兼業主婦が徒然と書くブログ。読書記録、美術展の感想など。

4月第1週(4/4~10)に読んだ本(1)

今週は10冊

先週の重い「決壊」の反動か、好みの現代女性作家ものを多く読んだ1週間でした。以前は反動で読めなくなっていたことを思うと読書は習慣づいてきたのかもしれません。読みたい本がたくさんあるのに休んでる場合ではないと。

2016年81冊目「深夜特急3 インド・ネパール」沢木耕太郎

筆者本人が書くように熱く過ごした香港の1巻、香港を追い求めたゆえ冷めて過ごしがちだったマレー半島の2巻、そして3巻。旅の目的地の一つのインド編ということで楽しみにしていました。私自身はインドへ行きたいと思ったことはないまま30代になりましたが周囲にはインドに行ってその魅力に捉われた話もいくつか聞きました。それだけにどんな国なのかと…
80年代のインドの混沌(今はIT部門でかなり強くて全然違う国なんではないかしら…でも宗教観はそうそう変わらないから変わらないところもあるのかな)がすごく伝わります。生で見たいような見るのが怖いような景色。一方で病に掛かることもあり暗い感じにもなる巻でもあります。4巻以降どうなっていくのか、80年代の世界への旅が楽しみです。

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)

 

 

2016年82冊目「物語のおわり」湊かなえ

Amazonでの説明文で受けた印象は違う暮らしをする女性たちの話…と思いきや一つの物語を巡る連作集。発売日はこちらが先だけれど「絶唱」を先に読んでしまったので、物語構成としては似た印象というかある程度筋が読めてしまいました。それぞれのエピソードは映像化がよくされる作家さんだけに分かり易くも印象的ではありました。純文学に傾倒していて大衆文学を悪く言う元彼の話は屈折した文学青年が上手に描かれているなーと。

物語のおわり

物語のおわり

 

 

2016年83冊目「骨を彩る」彩瀬まる

作者も違えばモチーフも違うのに偶然にも話の展開の仕方は「物語のおわり」に似ています。連作集で前の話の登場人物がどこかに出て、最終話でうまく最初に繋がるような形。最初の奥さんをなくしたご主人のお話が特に品がありました。世間的に大変と言われる立場であろうが本人は普通に生きているし、それでもその中で喪失とどう生きていくかということ。作者ご本人の作品についてのインタビューを読んだところ喪失について書きたかったとあったような気がしますが、大げさでなく市井の人の喪失をさりげなく書いているのが素敵です。

骨を彩る

骨を彩る

 

 

2016年84冊目「桜の下で待っている」彩瀬まる

こちらも連作集。彩瀬さん連作好きなのかしら。偶然? 東北新幹線に縁のある人たちのお話。東北新幹線は東京在住時に数えるほどしか使ったことがなくて(関西に住んでいるとなかなか使わない…)あまり馴染みはないのですが。「骨を彩る」よりはソフトに日常を描いているような気がします。

桜の下で待っている

桜の下で待っている

 

 

2016年85冊「ナイルパーチの女子会」柚木麻子

直木賞にノミネートされたり山本周五郎賞を取ったりしたこの作品。「私にふさわしいホテル」でかなり勝手に柚木さんにがっかりしてしまったのですが女性同士の関係を描くということで期待していたのですが…。
このお話はキャリアウーマンの栄利子も子なし専業主婦の翔子が交互に語ります。仕事する独身女性だったこともありますし、現在は子なし専業主婦。偶然にもどちらの立場も経験しているんですけれど、うーん。どちらにも共感できず。それほど友達に固執するんでしょうか。仲良くなりたい人に疎遠にされたらそれは寂しいけれどそれでも何かしらの行動に出てしまうなんて。違うのかしら。語り手以外に出てくる人間も誰一人悪役としての魅力もなく…。意外にも最後は前向きでちょっと驚きました。

ナイルパーチの女子会

ナイルパーチの女子会