2月第4週(2/22~28)に読んだ本
今週はちょっとペースダウンで5冊6冊+新刊コミック2冊
出掛けたりもあったからかちょっとペースダウンの第4週でした。2月は早い。先週の記事タイトルが第2週になっていたことに今気付いたので第3週に修正しました。
※3/3訂正 記録を見直したところペースダウンせず6冊でした。失礼いたしました。49冊目を追加しました。
2016年44冊目「自画像」朝比奈あすか
朝比奈さんの小説は2月第1週のお気に入り本「天使はここに」以来。以来というほど間空いてなかったですね。主人公が入学した女子中での鬱屈が積もり積もって…という朝比奈さんの王道の女同士の確執だと思い込んで読み進めていたのですが。主題はそれではありませんでした。
後半になってフィーチャーされる問題はそれこそ簡単ではない話で、だからこそ取り上げのだろうな、というのも分かるのですが前半の鬱屈した描写からの路線変更がどうにもついていけなくて。作者の真摯な姿勢が伝わるだけに容姿コンプレックスの話と後半の問題の話と、別々で読みたかったという気持ちが残りました。
2016年45冊目「少女は卒業しない」朝井リョウ
朝井リョウさんの話ほとんど読んだのにこの本だけいつ図書館に行ってもありませんでした。貸し出し中かな、まあ巡り会えた時に読もう、と考えたまま忘れていました。
ある日、図書館のティーンコーナーを好奇心から見に行きました。平日で対象年齢の子たちもいなかったので。そうしたらこの本がティーン向きの棚に置かれていました。
どうしよう、ティーンのラベル張られてるわ…でもしれっと借りてしまおう、とちょっと勇気を出して(笑)借りてきました。
女性作家が書く女のどろどろに疲れていたのかしら、男性作家が書く女性視点のこの連作集を読んで瑞々しい気持ちになりました。冷めた気持ちになってもおかしくないのにそうさせない筆致。一人でひっそり青春時代に戻れる小説でした。
表紙の女の子が素人の女の子っていうのにびっくり。単にかわいいなって思ってたけど、読み終えたらこの短編集の雰囲気を余すとこなく表現してました。リンクは文庫版なんですが、単行本版の表紙の方が好きやなー(でも文庫だとこの方がバランスいいのはわかります)。
2016年46冊目「パラドックス13」東野圭吾
図書館で文庫を見つけて読んでない作品だーと喜んたのですがググって知った単行本版の表紙を見て既に読んでいたことが発覚。でもまあ内容をほとんど覚えていなかったので再読しました。
ある意味ヒーローに救いがないので読後感は切ない。
レビューでも見かけましたが描写が東日本大震災の映像と重なるように私も感じました。ですが単行本の刊行はそれより前。東野さんが売れっ子であり続けるのは少し先の未来を描いたり時代とリンクした題材を取り上げているのもあるんだろうな。
2016年47冊目「くちびるに歌を」中田永一
去年映画公開時のニュースで小説をもとにした作品と言われているのを聞いて、原作本を読みたかった作品。これもティーンコーナーにあって驚き。ガッキー主演だからてっきり大人の話かと。大人目線ではなく生徒目線で原作が書かれていました。合唱は授業の一環でしかしたことがないけれど、みんなで歌うってことをしたくなる作品。
中田永一さんって乙一さんの別名とのことですが、乙一さん作品のイメージはホラーのイメージで、一冊も読んだことがないんです。でも文章好きなのでチャレンジしてみようかな。
2016年48冊目「私にふさわしいホテル」柚木麻子
柚木さんを昨年から集中的に読んで残りは「ナイルパーチの女子会」と先日刊行された「幹事のアッコちゃん」だけとなりました。
この作品を最後に読んでよかった。この作品を最初の方に読んでたら柚木さん作品を読みたいなんてならなかった。それぐらい憤りを感じてしまった作品でした。
作家だからこそ現在の文壇・出版業界に対して、言いたいこと、書きたいこと、怒っていること、あるんだろうなって察しました。テーマはすごく好き。なんですけど肝心の主人公が自分の承認欲求が強いだけで全然小説、文学というものに真摯に感じられなくて。主人公が最終章で小説に真摯でない人に怒っていて拍子抜け。え?あなた真摯なの…?って。最終章がなければブラックユーモアの域だったのに。ライバル?の東十条さんは魅力的に描かれているのに。
こんな好き勝手言う一般人の声が作家に目に入る時代になってしまったですもんね。そういうことに対する言いたいことも伝わってきました(苦笑)。
2016年49冊目「キャッチャー・イン・ザ・ライ」J・D・サリンジャー/村上春樹訳
1冊抜けてました。ライ麦畑でつかまえての村上春樹さんの新訳(といっても10年以上前に出たものです)。誠光社で見つけて、海外文学に手を広げたくて衝動買いした小説。積読していましたが本好きの友人にサリンジャーいいよと勧められたこともあって手をつけました。
基本的に、○歳の時に○○すべき、という考え方は好きじゃないんです。いくつになってもその時がベストだと思いたい。あっ、思いたい時点で悔いてるか(苦笑)。それでも終わったことを嘆くより現時点でできることをした方がいいいよね、と。
けれども、この小説に関しては、高校生の頃に、せめて大学生の頃に(その頃村上訳は出てませんが)読んでおきたい小説でした。どうしても主人公ホールデンの語る「俺すげぇぇ」臭(あえて俗な書き方です)が鼻についてしまいます。でもこの自分は人とは違って有能である、という間違って大きくなった矜持って大人でもない子供でもない時期にあっておかしくない感情です。昔のアメリカを舞台に書かれるこのリズミカルで歪んで青春な物語を当事者の時に読みたかったな、と残念でしょうがない。そう言えば昔は「ライ麦畑でつかまえて」というタイトルからさわやかな恋愛物語想像してたなぁなんて懐かしくなりました。
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
- 作者: J.D.サリンジャー,J.D. Salinger,村上春樹
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 新書
- 購入: 11人 クリック: 73回
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2016年コミック2冊目「俺物語!!11」河原和音・アルコ
俺物語は安定して読めます。少女マンガってカップルが付き合った後失速しがちだけどカップル以外のキャラも立ってるしコメディノリもあるし安心して読み続けられそう。今後も基本数話完結ものが続いて欲しい。
2016年コミック3冊目「Bread & Butter4」芦原妃名子
砂時計から割とちょくちょく買うようになった芦原さん作品。この巻はちょっと不穏な空気もあって楽しいといいよりはこの先暗い展開はあんまり嫌だなーと危惧しつつ。
前巻に収録されていた結婚退職する友人の話は自分が退職直後だから被って、自分の意志で辞めたのにこのそこはかとなさはこういうことだったのかーと自分の気持ちを代弁してもらった気になりました。退職シーズンなのでもしよければ3巻をどうぞ(笑)。
芦原さんのお話ってサブキャラが主人公の少女マンガっぽくない話が好き。砂時計の主人公のお母さんの学生時代の話とかね。(砂時計9巻に収録)
今週の1冊
数読んでこそこれっていう本に当たるのかもしれないなと実感した、と5冊の今週。来週はかなりの冊数になりそうなので、今週はなしで、来週に2冊取り上げることにします。