alphaのときどきブログ

Webにちょっとだけ関係した仕事をはじめた元Webディレクター兼業主婦が徒然と書くブログ。読書記録、美術展の感想など。

関西で観られるのは明日9/22まで!「生誕130年記念 藤田嗣治展 -東と西を結ぶ絵画-」展へ行ってきました

裸婦画好きなんです

きっかけは、たまたま近くの図書館でお勧めの本としてラックに並んでいたこの本。

猫と道草、アートの旅―イノモト流ニッポン美術館紀行

猫と道草、アートの旅―イノモト流ニッポン美術館紀行

 

 猫に美術館という好きなものダブルで嬉々として読み進めていたところ、新潟県立近代美術館の頁に藤田嗣治という画家が描いた裸婦が猫(などの動物)に囲まれた絵がある書かれていました。
裸婦!猫!
猫が好きなのは前述の通りですが、ルノワールの裸婦像(恐らく大昔のオルセー美術館展のポスターに使われていた「陽光を浴びる裸婦」)に感銘を受けたことがあり、裸婦が描かれた絵が気になってしょうがない!
しかもこの藤田嗣治という画家は本によると「乳白色の肌」と代名詞にも言われているとのこと。
知識不足でその日まで藤田嗣治のことを知らなかったのに、急にこの画家の作品をどこかで観たくなってしまいました。いつか新潟まで原画見に行くかな…とダメ元で画家名で検索したところ、まさかの関西で展覧会が開催されてる!何この偶然!運命ぽい!でも22日まで。雨だと出掛ける気半減だけれどそんなこと言ってる場合じゃない、ということで行ってきました。

www.leonard-foujita2016.com

公式ページにあるように関西で見逃しても府中で巡回展があるよ!

 

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学生時代の評価は上位ではなかった

以前記事にしたモランディ展、書きそびれてしまった鉄斎展(本年5月)に続いて3回目の兵庫県立美術館。過去2回は人が比較的少なく(京都市美術館比)出身地の兵庫県&神戸市びいきとしては心配だったのですが今回は割と人が多くよかったやん!

と思っていたのですが敬老の日の無料施設だったようで…。

それでも少し待てば気になった絵をじっくり観られる環境で快適でした。
藤田嗣治、戦後フランス国籍を取得しレオナール=フジタとなった、彼の生涯に沿って作品が展示されていました。
少年の時から当然ながら上手いのですが、驚いたのは学生時代(現在の東京芸大)の卒業作品の評価は卒業生の中でも上位評価ではなかった、という解説がついていました。若い頃の評価が絶対でないこと、続けること、挑戦することってだいじ。

乳白色の裸婦

卒業後、パリに渡ってからの絵は学生時代と筆致が変わっていて、環境の変化を感じます。「乳白色の肌」もこの時期に既に描かれ始めていました。裸婦キター!! 裸婦綺麗やで裸婦。「裸婦像 長い髪のユキ」の前で、しばらくピンクを帯びた透き通る肌の色にうっとりしていました。
パリで売れたこの時代には、頼まれて描いた絵も多くありました。職業画家のプロフェッショナルさ。女性のドレスのディテールの描き込みが本当に細かくて素敵。さらに静物画には藤田自身を紛れ込ませたお茶目な手法に笑みがこぼれます。
時流に乗り自身が乗っている時というのはいい仕事が次から次へと出来るんやね。

各地を転々、そして戦争

パリ時代から変わって世界を旅してまわるようになった時の30年代の絵画はエキゾチックさが加わったような作風です。
そして戦争の時代となり、国に依頼されて戦争画を描くように。そんな職業があるとは知らなかった…。大きな戦争画が何枚も展示されていました。迫力、むごさ、…言葉にならない絵ですが、真っさらな気持ちで観られない絵もあるということ。
パリ時代の華やかな絵との落差に何とも言えない気持ちになりました。

再びパリへ

戦争画のコーナーの次では、戦争時代の絵で戦争責任に問われることになり、藤田はパリへ渡り、二度と日本へ帰ることはなかったとの解説がありました。何と…
それでもパリへ再び渡ってからの絵は美しさを追求した絵が続き、観ていて穏やかで贅沢な気持ちになれる絵が続きます。裸婦と猫の絵もありました。乳白色が陶器のようで。
その後宗教画や手掛けた教会のステンドグラス等も展示されており、そこで終わります。

おわりに

スマホの充電が切れて時間が分からなかったこともあり、時間を気にせず気になった絵をじっくり観ました。様々なことに翻弄された生涯を辿ったからか、自分も様々な体験をしたような気になりました。
恒例の絵葉書も買ってきたよ!
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写真に撮った以外も買いましたが猫と裸婦の絵葉書はありませんでした。版権の問題かなーなんて思いましたが売切なだけかも。左の金色の絵葉書は画家の個性が出ていながらも日本風の背景が描かれていたのがよかったので。真ん中が記事中に出てきた「裸婦像 長い髪のユキ」。ユキはあだ名で日本人ではなくベルギー人。
思い立ったが吉日な鑑賞でした。